ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

水辺のベンチシリーズ⑥ コーワンズ・ヒル@テカポ

見渡す限り人工物の無い、荒涼とした丘。 何もないようで、風に日差しに確かな春の気配を感じる、そんな10月でした。 人影の一つもなく、風と鳥の声以外に音もなく、 取り残された世界で独りぼっちみたいな気分の中、 なだらかな丘を登ると、そこに待ってい…

今日の一冊「マリアビートル」伊坂幸太郎

ちょっと殺伐系が読みたくて、主人公が殺し屋の本を選ぶ。ミステリーじゃないのに次々に死体が増えていく感じ。途中で新幹線の中に何体死体あるんだよってツッコミたくなる。 「マリアビートル」は「グラスホッパー」の続編。「グラスホッパー」の主要な殺し…

八月後半にコツコツ読んでいた長編の話

●レ・ミゼラブル上・下(角川文庫) V・ユゴー 本当はちゃんと全編全訳の5巻くらいある方を読みたいんだ。でもなかなか古本屋で出会えないのもあるけど、そもそも読み切る自信と勇気もなかったり。 しかし久々にじっくり読んでみたら、マリウス君やばいな!た…

今日の一冊「夜市」恒川光太郎

Wi-Fiの不調で1週間も更新できなかった。。スマホからすれば良かったんだと気づいた昨日。現代人やめたくなったわ。 そして今日の一冊は「夜市」これよ、これこれ。これが読みたかったのよ。「よもつひらさか」を読んだときに感じたコレじゃない感。その正…

昨日の一冊「SOSの猿」伊坂幸太郎

比較的最近の作品かと思ったけど、文庫の初版2012年だった。もう10年近く前じゃないか。久しぶりに読んだら記憶より面白かった。 悪魔祓いをしていたらサルが出てきちゃったシーンで、細かいところは完全に忘れてたから吹いた。主人公の副業が悪魔祓いって、…

今日の一冊「よもつひらさか」今邑彩

暗くて、ドロドロして、ちょっと不思議な、夏に似合う怪談話を読みたくて選んだけど、イマイチこれじゃなかった感。得られる恐怖心が人間由来だったからかなぁ。 夏の怪談物って、この世ならざるモノ的な何かにゾっとさせられたいものじゃない?短編集なんだ…

今日の一冊「小説 東のエデン」神山健治

なんで読んだはずなのに内容を覚えていなかったのか。答えは簡単。完結してないから。私は結論しか記憶に残せない。ミステリーを読めば数か月後にはトリックも設定も忘れて、犯人だけ覚えているレベル。 たぶん見かけたら完結編である劇場版と付く方を買おう…

昨日の一冊「魔王」伊坂幸太郎

初めてこれ読んだのは十年くらい前かしら。衝撃的だったよね。その後の人生に影響したと言っても過言ではない。 不思議な力を手に入れたお兄ちゃんが、宮沢賢治を愛する政治家から日本を守ろうと戦う話、と言うと全然要約にもなってないけど、大体そんな感じ…

今日の一冊「宇宙(そら)にいちばん近い人」浜口倫太郎

ポプラ文庫なのでホッコリ系。戦後日本を生き抜く女の子と宇宙人のラブストーリー。「もはや戦後ではない」という言葉を最近よく見る。なにも図っちゃいないんだけども。 主人公の幸子ちゃんは職場の銀行で男尊女卑に苦しみ、復員した父親の秘密に悩み、母親…

水辺のベンチシリーズ⑤テカポ湖のほとり

唐突に寒くなったおかげで昨日から体調がグズグズです。 もうこのまま秋になってほしいけど、また暑くなるそうでご勘弁願いたいものです。 さて、本日のベンチは… 2020年10月撮影のテカポ湖です。ベンチ・・・? このシリーズにも限界があるので、座れたら椅…

今日の一冊「1973年のピンボール」村上春樹

先日「風の歌を聴け」を読んだ後で、それが三部作だと知った。初めて読むはずなのに、何故か既視感があったのは、少し昔に「羊をめぐる冒険」を読んでいたからだったらしい。 知らずに三部作の結末から読んでいたんだわ。村上春樹作品の主人公なら、きっと「…

今日の一冊「夜行」森見登美彦

ヨルシカの「夜行」という歌を鼻歌で無意識に歌っていたら、森見登美彦の「夜行」を読みたくなるという連想現象。どちらも夜が舞台なのに暗くなくて、透き通った夜の風と、その後に控えた朝の気配を感じられて好き。 本の方の「夜行」は、夜行列車が物語をつ…

瀬川貴次「ばけもの好む中将」八巻までの備忘録

今日は一日暇だったので、昨日一巻を読んだ勢いで自宅にあった8巻までを読破した。集中力の権化。我ながら呆れるけど、内容が面白いからこそ集中力も続くわけで。(軽度の責任転嫁) 9巻以降を買うか買わざるかは、古本屋で見つけたらって感じかな。(こんな…

今日の一冊「ばけもの好む中将」瀬川貴次

私の大好きな平安時代。モノノケに会いたい中将様が主人公の青年、宗孝を振り回します。時代的にモノノケは実在するものとされているから、常識的な思考を持っている宗孝君はビビり散らしつつも逆らえずに振り回されます。 果たして今宵、中将様はモノノケに…

水辺のベンチシリーズ④春先のクライストチャーチ

水辺のベンチシリーズ④クライストチャーチのHagley Park。2020年10月撮影。 ニュージーランドの大きな都市に必ずあるもの、それは無料で入れるボタニカルガーデン。イギリスの文化に大きく影響を受けているNZでは、ガーデニングに関心が深い人が多いらしくテ…

今日の一冊「オリンピックの身代金」奥田英朗

オリンピック期間中には読み返したいと思っていたのを、ぎりぎり閉会式の日に読了。これはね、やっぱり今読むべき物語だった。オリンピックの開催の裏に、どれほどの犠牲や搾取があったのかって考えさせられる。 舞台は昭和の1964年の東京大会だけど。主人公…

昨日の一冊「おちくぼ姫」田辺聖子

一時期、平安時代にハマって探しては読んでいた頃に買ったやつ。陰陽師とかの時代、物の怪たちが実際に存在していた頃の感じが好き。科学的な知見で言えばいないのかもしれないし、現代では否定される存在だけど、当時の人たちの中では実在するものだったの…

今日のもう一冊「はるかな空の東」村山早紀

村山さんも結構読んでいるんだよな。児童書の作家さんだから、安心して読める。グロテスクな殺人事件も、ドロドロした恋愛模様も出てこないから。あー、この人も人魚とかヤマンバとか魑魅魍魎系が出て来がちだな。ファンタジーの王道爆進系で、やさしい魔法…

今日の一冊「けさくしゃ」畠中恵

畠中さんは「しゃばけシリーズ」が好きで色々読んだなー。最近は追い切れてないけど。時代物が好きなのと、河童とか天狗とか魑魅魍魎が百鬼夜行をしちゃっているような物語が好きなので、「しゃばけ」は私の性癖にど真ん中だった。私が好きな森見登美彦作品…

「凍える島」近藤史恵

「タルト・タタンの夢」を探した時に、隣にあったので読んだ。これは人の死ぬ系のミステリー。むしろ連続殺人でどんどん死ぬね!無人島に集った男女が次々に殺されていく、超王道なミステリー。そして誰もいなくなりはしなかったけど。 ミステリーは推理しな…

「タルト・タタンの夢」近藤史恵

Wi-Fiの不調で更新できない日が続いてフラストレーション。 暑さも手伝ってイライラしちゃうよ。。 最近たまたま書店の店頭で、映像化されると知って、あれ、私これ持ってるのでは?と本棚から発掘。ずっと昔に買って一度読んで忘れていた。 ブックオフの百…

閃輝暗点症を患うこと

閃輝暗点症などというケッタイな病名を耳にしたことのある人間はどれほどいるのだろう。字面だけは、なにやらキラキラした星空のように見えないこともない。 病気の話なんて面白くないけど、まぁ15年も付き合ってくれば何やら面白い経験のような気もしてくる…

八月の博物館/瀬名秀明(角川文庫) ※もしかしたらネタバレかも※

集中力の限界を感じたわ。 そもそも五日連続で長編を読もうなんて、いくら読書好きでも限度があるってもんよ。 まあ、今回はスマホがいじれない状況で長時間待機しなければならないという 謎に楽なのにハードな状況があったからという理由だけれども。 しか…

水辺のベンチシリーズ③ダニーデンにある世界の果てのような場所

さすがに三日連続で長編を読むのは無謀だった。今日は「八月の博物館」を100ページほど読んで撃沈。 なので逃げのニュージーランドネタ。水辺のベンチシリーズ、第3弾。 ※撮影はすべて2020年10月ですが、コロナによる移動ルールなどは順守しています。 これ…

プリンセス・トヨトミ / 万城目学(文春文庫)

今日も今日とて暑いなあ。こんな臭いサウナみたいな東京でスポーツしたい人間なんておるんか。四連休なのはカレンダーだけで、私は六連勤の途中。夢も希望もありはしないんだ。と言いつつ今日の仕事はほぼ待機(読書可)だったので、500ページ読み切りました。…

今日の一冊:ペンギン・ハイウェイ/森見登美彦(角川文庫)

大好きな森見さん作品。 何年か前にアニメ映画になったやつ。 不可思議で、可愛くて、切ない。 森見さんの作品って、京都の腐れ大学生が主人公で、 四畳半の安い学生アパートの畳を煮しめたようなアクの強い印象があるけど、 これは、そのアクも良い意味でク…

チーズと塩と豆と/集英社文庫のアンソロジー

角田光代、井上荒野、森絵都、江國香織の四人の作家のアンソロジー。 それぞれタイトルは 神さまの庭(角田光代) 理由(井上荒野) プレノワール(森絵都) アレンテージョ(江國香織) 文庫のタイトル通り、全部料理がテーマになっていて、 舞台がヨーロッパ各国で…

今日の一冊「感傷コンパス」多島斗志之

ぼちぼち本棚の整理を行っています。 まずは数の少ないハードカバーの単行本から、 と思ったのですが、こんなの持っていたっけ!?読んだっけ!? と、手は止まりまくり。 数ページ読んでなんとなく内容を思い出したら閉じるようにしていたのに、 これは完全…

今日の一冊「ホワイトラビット」伊坂幸太郎(新潮社)

これはガッツリ黒澤さんが格好いいやつ。今村君もガッツリ出ていることはスッカリ忘れていた。てか「フィッシュストーリー」の「ポテチ」の主要メンバー再集合だったわ。 ずっと読み返そうと思ってて、ずっと放置していた。華麗なる伏線回収系の小説って一回…

今日の一冊「フィッシュストーリー」伊坂幸太郎(新潮文庫)

やっと有言実行できた。お久しぶりです、黒澤さん!(笑)しかしこれは独立した4つの物語の短編集だから、全部に黒澤さんがいるわけではない。 ・動物園のエンジン・サクリファイス・フィッシュストーリー・ポテチの4編から成るんだけど、それぞれ感慨深くて…