今日の一冊:ペンギン・ハイウェイ/森見登美彦(角川文庫)
大好きな森見さん作品。
何年か前にアニメ映画になったやつ。
不可思議で、可愛くて、切ない。
森見さんの作品って、京都の腐れ大学生が主人公で、
四畳半の安い学生アパートの畳を煮しめたようなアクの強い印象があるけど、
これは、そのアクも良い意味でクセのある香りくらいになってて爽やか。
自称賢い小学生が、街に現れたペンギンの謎や、魅力的なお姉さんの不思議を解き明かしていく。
ほろ苦いような、甘酸っぱいような読後感。
森見作品らしいシャチホコ張った語り手も、小学生だからかわゆい。
「有頂天家族」の弁天さんのような、謎めいたお姉さんも素敵。
「死」もテーマの一つだと思うけど、その重さを中和させるほど軽やかに物語が進む。
わらわらと溢れるペンギンやシロナガスクジラは、
何かのメタファーなんじゃないかと深読みしてしまえて面白い。
森見作品によくあるパラレルワールド理論みたいなものの基礎知識的な内容もあるから、
初めて森見さん読む人にも勧めやすい気がする。
しかし理系に拒絶反応を起こす人にはオススメしない。
特に、相対性理論とか出てくるだけで痒いみたいな人には。
(もちろん相対性理論を全く理解していなくても一切問題はない)