ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

昨日の一冊「おちくぼ姫」田辺聖子

一時期、平安時代にハマって探しては読んでいた頃に買ったやつ。
陰陽師とかの時代、物の怪たちが実際に存在していた頃の感じが好き。
科学的な知見で言えばいないのかもしれないし、現代では否定される存在だけど、
当時の人たちの中では実在するものだったのかなって思うとワクワクする。

「おちくぼ姫」は魑魅魍魎は関係ない、当時のただの恋愛小説だけれども。
継母に虐められた美しいお姫様のシンデレラストーリーという有りがちながら、
これが千年も昔に作られた物語と思えば面白い。
時代も、国や文化も関係なく、継母は健気な継子を虐めるものらしい。
そして、顔と性格が良い人間は、苦難を重ねてもいつかは報われる。

つらいことがあっても、耐えていればいつかは報われたいなんて、
これは不変の人間の願望なのかもしれないけど。
私は無理。耐えられなくて、暴発して全力で逃走する。
平安のお姫様にそんな選択肢は思いもつかないのだろうけど、
大切なものを奪われて、泣き寝入りしてしまう女にはなりたくない。

継母が復讐されてやり込められているけど、
「おちくぼ姫」自身でなく、周囲の人間が彼女の意向も聞かずに復讐を担っていて
それもナンダカナーって思ったり。
周りの人間に代わりに怒ってもらうような、
自分の感情を押し殺した人間になんてなりたくない。

うーん、つまり「おちくぼ姫」はこんな女になりたくないランキング上位ですね。
あ、それはともかく、物語は面白いよ!