今日の一冊「感傷コンパス」多島斗志之
ぼちぼち本棚の整理を行っています。
まずは数の少ないハードカバーの単行本から、
と思ったのですが、こんなの持っていたっけ!?読んだっけ!?
と、手は止まりまくり。
数ページ読んでなんとなく内容を思い出したら閉じるようにしていたのに、
これは完全に結末を忘れていて、最後まで読んでしまった。
舞台は戦後数年経った頃、三重の山奥。
新任教師の女性が主人公で、田舎の人間模様に戸惑いつつも馴染んでいく様子。
なんか内容というかテーマ的には女性作家っぽい。
大きな波乱万丈もないし、最後も曖昧なまま終わっていく感じ。
タイトルに「感傷」とあるから、主人公が出会いを通して自分の過去を振り返るような、
ジブリ作品の「おもひでぽろぽろ」のようなイメージをしたけど、
そうでもなかった。教師と言う職業柄もあるけど、他人の人生に干渉してた方。
あ、うまいこと言った、とは思っていないですよ。
他人の憂鬱な過去を暴いてしまうのに、主人公自身の過去の鬱屈とかは特にないから
なんか、ストーリーとして物足りなさは感じる。
問題児(?)や問題を抱えた大人たちとの交流や邂逅、少年少女たちの優しさや強さ、
そういった点は読んでいて面白くはあったけど。
あと、イノシシの駆除を通じて、命について考えられたりとかも面白いポイントかな。
標準語の主人公の視点が入るから特に私はひっかからなかったけど、登場人物たちの方言がキツイのは人によっては読みづらいかも?
内容的にはサクッと読めるから、ちょっと軽い読書がしたい時には読んでみたら?くらいなオススメ度かなぁ。