ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

今日の一冊「夜行」森見登美彦

ヨルシカの「夜行」という歌を鼻歌で無意識に歌っていたら、
森見登美彦の「夜行」を読みたくなるという連想現象。
どちらも夜が舞台なのに暗くなくて、
透き通った夜の風と、その後に控えた朝の気配を感じられて好き。

本の方の「夜行」は、夜行列車が物語をつないでいく。
そして、岸辺道生が永遠の夜を描いた「夜行」という連作の銅版画、
それの対となるただ一度きりの朝を描いた「曙光」という
誰も見たことのない幻の絵が、永遠の夜を彷徨う人間たちを主人公にしていく。

「夜はどこにでも通じているの」

「世界はつねに夜なのよ」

登場人物たちの思わせぶりなセリフに揺られて、夜を行く旅をしたくなる。


ちなみにこれに触発されたこともあり、
私はサンライズ瀬戸に乗って横浜から高松まで夜行列車で旅をしたことがある。
夜行の旅情をひしひしと感じて、朝日が嬉しくて、でも夜が終わるのは切なかった思い出。
飛行機のワクワク感も好きだけど、夜行列車で得られる感覚は、
他のどの移動機関にもない唯一無二のノスタルジーだと思う。