ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

今日の一冊「宇宙(そら)にいちばん近い人」浜口倫太郎

ポプラ文庫なのでホッコリ系。
戦後日本を生き抜く女の子と宇宙人のラブストーリー。
「もはや戦後ではない」という言葉を最近よく見る。
なにも図っちゃいないんだけども。

主人公の幸子ちゃんは職場の銀行で男尊女卑に苦しみ、
復員した父親の秘密に悩み、母親の死に心を痛め、
寡黙な弟の世話を一人で熟す頑張り屋さん。

そんな彼女が自称宇宙人を助けてしまうところから物語が始まるのだけど、
この謎の自称宇宙人、本当に宇宙人という設定なのでぶっ飛んでる。
でも顔が良い設定は、もう許すしかない。

幸子ちゃんの抱える問題は仕事・家族、そして生き方みたいな
現実味のあるものなのに、宇宙人が宇宙人らしい視点で、
無邪気なようで核心を突いていくからなんだか面白い。
それにこの宇宙人、ほがらか(過ぎる気もするけど)で優しいから
実はかなり重たい話をしているのに安心して読める感じ。
それでも何ヵ所か泣きそうになったわ。

色々とご都合主義なところもあるけど、ファンタジーってそういうもんだし、
なんやかんや読み終わって幸せな気分になれたので満足。