ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

今日の一冊「1973年のピンボール」村上春樹

先日「風の歌を聴け」を読んだ後で、それが三部作だと知った。
初めて読むはずなのに、何故か既視感があったのは、
少し昔に「羊をめぐる冒険」を読んでいたからだったらしい。

知らずに三部作の結末から読んでいたんだわ。
村上春樹作品の主人公なら、きっと「やれやれ」って言う事案。

まあ、終わりと始まりを読んだのなら、
中間を埋めたくなるのが人情ってもんで。
古本屋で探したら、背表紙に印字された定価が400円で、
貼られた古本の価格は382円(税抜き)だった。

…古本の意味とは。
まあ2021年に定価で買おうとしたらもっと高いのかもしれないですけども。


これは最近読んだ「オリンピックの身代金」とも近い時代の話で、
この頃の日本の空気感が何となく好きだなぁと思ったり。
電話が持ち歩けない時代の、豊かさの指標が即物的で単純な感じ。
今みたいに選択肢が多すぎなくて、
型に嵌ってしまえば楽に生きられそうな感じ。
型に嵌れなかった人々が物語にされていくわけだけれども。
まぁどの時代だとしても、そう簡単に生きられたなら文学なんていらないか。

型に嵌れた人間は時代に縛られて、そうなれなかった人間は退場していく。
置いて行かれた人間と、置いて行った人間と、どちらの方が苦しいかな。
あー、こんな思考回路になるのは、全部村上春樹のせいだ。
今日は日付が変わる前に寝よう。
ウイスキーもタバコも好きじゃなくてよかったわ。