ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

今日の一冊「バイバイ、ブラックバード」伊坂幸太郎

いきなり寒すぎて気力が低下する。。
と、言うのは言い訳で、最近はいつも停滞気味。
そんなときは好きな本でも読みましょう。
ってことでお馴染みの伊坂幸太郎

伊坂作品の中では、ちょっと毛色が違う気もする。
といっても、それが良い味出していると思う。

主人公の星野君は借金で首が回らなくなって「あのバス」に乗らなければならなくなる。
「あのバス」の正体については明かされていないけど、まあ、今生との別れを意味するようなもので。
それに乗るまでの期間、謎の巨体の繭美ちゃんの監視を受ける。

で、実は星野君には5人の彼女がいたので、
繭美ちゃんと共にそれぞれにお別れを言って回るのだけども・・・
なんてとんでもないストーリー。
なのに何故か憎めないのが、星野君の不思議なところ。

 なんだっけ。どこかで似たような主人公に会った気がする。
 あ、横道世之助だ。
 詳細は覚えてないけど、彼も飄々と女性を渡り歩いていたような。

もう一人の主人公と言うべき繭美ちゃんのキャラもとんでもない。
秋田出身の彼女にはナマハゲを想起され、全ての人間を威圧する。
何年か前にドラマ化されてたみたいだけど、
キャスティングがまさかの男性だからね。でもそれも納得させてくる威力。
しかし、この物語で一番お気に入りの登場人物は間違いなく繭美ちゃん。

5人の彼女たちも個性豊かで面白い。
別れてくれない人、あっさり別れてサヨナラって人、五人五色。
彼女たちの中で一番好きなのは、ロープ少女のユミちゃん。
あっけらかんとして、自分の思うままに生きている感じが、野良猫みたいで好き。
ちょっとした脇役の不知火刑事も気になる存在。

アクションは繭美ちゃんがちょこっとするくらいで派手派手しくはないし、
メインとしてはやっぱり別れ話で、どちらかというと星野君の終活だし、
薄暗いイメージの物語だと思う。
でも繭美ちゃんの存在のお蔭で暗くなりきらなくて、どこか救いもあって、
何回読んでも面白いと感じる。

やっぱ繭美ちゃんが好きだわ。なりたいとは思わないし憧れもしないけど、尊敬はする。
大きな山を畏怖するような感覚に近いけど。