ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

「魔女の宅急便③キキともうひとりの魔女」角野栄子

伊坂さんを魔女宅でサンドイッチすると、世界観違いすぎて脳が混乱する…

さて、魔女宅シリーズ三作目。
ケケちゃん登場でキキの生活を引っ掻き回します。

謎の家出少女のケケが、突然キキの部屋に居候するところから話が始まり、
キキは放っておくことも無視することもできず、
かといって仲良くするには不信が過ぎて、
なのにキキの周りの人たちはケケと仲良くなっていくから面白くない。
そんなの、私だって嫌だよ。

キキの仕事まで横取りされそうで、どうなっちゃうの!?
って結構モヤモヤするのがこの三作目。
まあ人生、楽しいばっかりじゃないもんね、なんて達観してはいられない。

出会うお客さんたちも、ちょっと悩みや難があったりしている。

この三作目で好きなエピソードは、歌手のタカミ・カラさんとの出会いかな。
一緒に不思議な小道で歌って、自信を失っていたカラさんを元気づける話。
最後に流れるカラさんの歌の歌詞が、ちょっとぐっとくるのよ。

この作品は、全体としてキキが自分を見つめ直すというか、
そういうテーマが一本あって、だからお客さんとの個々のエピソードは少な目かな。
トンボさんとの関係についても、ケケへの対抗心だか嫉妬心だかを通して変わっていくから、
その辺りも読みどころの一つだと思う。てか一番の読みどころがそこか。