ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

今日の一冊「太陽の塔」森見登美彦(新潮文庫)

なぜか森見さん祭り開催中の私。
太陽の塔」は何回読んでも記憶に残らない。
なんでだろ。白昼夢でも見ていたかのようにぼやけてしまって。

で、改めて読むたびに「あー(トーンは低め)」ってなる。
腐れ京大生の男臭強めな感じ。
そして、何度も「あーっwww」ってなっては読み飛ばすゴ○ブリキューブのエピソード。

美しさの欠片も見当たらないようでいて、
何故か繊細な恋愛小説を読んだかのような結末。
まるで白昼夢だわ。

端々に魅力的な文章が見られるところも混乱を増長する。
―余分な睡眠は何も生まない。ただ夢だけを生む。
―そして彼女は眠る。猫のように丸まって、傍らに座る私を置いて、
 夜ごと太陽の塔の夢を見る。
とかさ、「男だらけのフォークダンスを踊り狂う」人間の述懐とは思えんやん。

太陽の塔と招き猫をこよなく愛する水尾さんの謎めきっぷりが、
そのうち弁天様にもなってしまいそう。
妄想に彩られた神秘的な黒髪の乙女は、男の夢なのかしらね。

物語は全体的に「夢」をキーワードにして進んでいる感じなのかな。
「水尾さん」に振られた男である主人公の一人称の話で、
彼はどうして降られてしまったのか、をつらつらと語られているのが本筋で、
まあ、壮大な失恋話って感じでもあるんだけど。
太陽の塔に取り憑かれた女性の摩訶不思議なエピソードも交えつつ、
まあ最終的には主人公君、性格に難ありだけどイイ奴だなって感じです。