ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

今日の一冊「恋文の技術」森見登美彦

書簡体で書かれた小説に苦手意識があって、
なんとなく読めていなくて、今回初めて読んだ。
意外と面白かったわ。

研究の為に能登半島に流された守田一郎が書いた手紙だけで構成された書簡体。
京都にいる仲間たちに次々と手紙を書いていく。
返信の手紙は見せられていないのに、内容や京都で起こっている事件が
しっかりと伝わってくる。
どこまで守田君が正直に書いているかも分からないけど、
それぞれの文通相手の人となりが分かって面白い。
特に大塚女史の不遜な存在感が、有頂天家族に登場する弁天様じみていて魅力的。

小松崎君って他の小説にも出て来ていた気がしたけど、何だっけ。
そして森見登美彦なる小説家も文通相手で、貶されているところも愉快だった。
見どころのある家庭教師の元教え子との文通内容が、
ちゃんと可愛いところにちょっとキュンとした。

まぁ可愛いと言ってもしっかりと森見作品なので下世話な内容ではあるが。
この小説内に「おっぱい」という単語は何回出てきたのだろう。
金を積まれて頼まれたって数えたくはないが。

能登半島には行ったことがないけど、行ってみたくなった。
守田君がたまに綺麗な表現を使って風景を教えてくれるから。
金沢とか、東尋坊とかなら行ったことあるけど。
日本海側ってあんまり旅行先の候補に挙がらないのはなんでだろ。

そんなことはともかく、
これを読んでも恋文の技術は向上しないことだけは保証できます。