ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

今日の一冊「終末のフール」伊坂幸太郎

もう今月は伊坂作品しか読まない。
と思ったけど、もう十月終わるやん。。
一か月、というか今年一年速すぎて付いて行けない。
私はまだ2020年くらいに取り残されている気分。

この本もいつぞや映像化されていたんだよな。
でもストーリーとか別物そうで見なかった記憶がある。

終末のフール、というタイトルを見て、内容を知らずに買った私、
初読の始めに「週末」と「終末」を勘違いしていたことに気づく。
もっと牧歌的なというか、お父さんの休日ハプニングみたいなのかと。。
そんなことなく、間もなく隕石が衝突して世界が終わる設定でまず衝撃を受けた。

これは私がアホなせい。

だけど設定は設定だけど内容は意外と平和。
惨憺たる日常から、諦めの境地に至った人間たちが、
最後くらい静かに過ごしましょうよって、
仮初めなのかもしれない最期の平和を生きる感じ。
舞台は共通で、主人公が入れ替わるパターンの群像劇って感じだから、
短編集として移動中に読むのもいいし、
一気読みしてもそれぞれの繋がりがはっきり見えて面白い。

本当に終末が来ると私たちが知った時、そんな風に平和を見出せるのかな。
私はさっさと諦めて、崖から飛び降りてしまうかもしれない。
その前にサバイバル能力の欠如で生き延びれる気もしないが。

さりげなく最後に登場する、田舎暮らしを徹底している元俳優が、
人間のあるべき姿を示しているような気もするよね。
無駄な情報を断って、日々をただ一生懸命に生きていれば、
終末だろうが何だろうか日常の一日に過ぎない。

でも、この物語の登場人物は全員愛おしく思える。
生き抜いて、生きている感じが。フィクションだけど、頑張れって応援したくなる。
まあ、安全な場所からの無責任な応援なんて、何の価値も無いけどね。