ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

今日の一冊「ティファニーで朝食を」カポーティ(新潮文庫)

殺伐とした殺人事件を読む気力がなくなってしまったので、
古典的な文学を読むことに。
やっぱり魔法の無い世界の、携帯電話も無い時代の話は何故か魅力的。

古典的な恋愛小説の文体って村上春樹感あるよねって思ったら、
これの翻訳、ご本人だった。

ティファニーで朝食を」といえば、オードリー・ヘップバーンの映画。
世代は全く違うけど、一度だけ映画館で観たことがある。
音楽や雰囲気がオシャレで、なによりもオードリーが妖精すぎて、
昔の映画なんだけど、現代でも魅力が褪せなくて、切なくて幸せな映画だった。

小説は原作で、映画とは雰囲気も結末も違う。コミカルな要素はほぼ無い。
音楽や映像もあるから、全体的なオシャレさは断然映画の方が魅力的なんだけど、
結末は小説版の方が断然好み。
好みは人それぞれだから、映画版の方が好きな人もいると思うけど、
私は余韻が残る、想像の余地のある方が物語の終わり方としては好き。

小説は主人公の男性の一人称で語られていて、作者の独白のような感じで進む。
ある時点から、過去を思い返して懐かしんでいる口調で、
『彼女』とそれにまつわる記憶を語っていく。
そして、語っているその時点では、主人公の『僕』は彼女の行方を知らないの。

これ実はいくつかの短編の入った文庫本なんだけど、
いつも「ティファニーで朝食を」だけ読んで力尽きてしまう。
いつか全部読まなきゃ、と思いつつ、今のところ「いつか」が来る気配は無い。