ひつじの部屋

多趣味・多経験を活かしたい

今日の一冊「鹿の王(上・下)」上橋菜穂子(角川書店)

昨日、今日とガッツリ時間があった、
というか生理痛で動くに動けなかったので
全てを諦めて微動だにせず異世界に没頭していた。

上橋さんの作品は、無意識にたくさん読んでいる。
精霊の守り人シリーズ全巻は高校時代に読破したし、
獣の奏者シリーズと狐笛の彼方は蔵書にある。
和風ファンタジーといえば、この人!って感じよね。

和風ファンタジーといっても、舞台は日本ではない、というか
完全に別の次元・別の国を想像で創造していて、それでいて違和感がないのがすごい。

今までに読んだ上橋作品の中では、この「鹿の王」が一番好きかも。
テーマは重いし、主人公も渋いし、昔はそんな好きじゃなかったけど、
今回改めて読んでみて、何これ、めっちゃおもろいやんってなった。

しかもこれ、初版が2014年発行なのだけど、
物語の主軸に語られるのが、感染症についてなんだよね。
いかに防ぐか治すか、立ち向かうかとか、医療関係者の視点と、それに対立する聖職者、
敵を滅ぼす手段にならないかとか、薬が交渉の切り札にならないかという為政者の視点と、
それらから追われたり、目を付けられたり、駒にされたり、翻弄される個人の話。

色々複雑に絡み合って、冒険小説という名目らしいけど、
それにプラスしてサスペンスやら医療ドラマやらの要素まで感じる。
でも主人公のヴァンと彼が助けた子供との絆とか、根本に家族愛や友愛があるから、そこまで殺伐とはしていない。

読むべき時は、今だったわ。
ステイホームのお供にオススメする。