今日の一冊「裏庭」梨木香歩
これも出会ったのは10年以上前だなぁ。たぶんピチピチの10代の頃。
その頃にはしっかり病んでたから、割と心を抉られた記憶。
抉られたといっても、めでたしめでたしって感じの結末なので、悲しくはない。
孤独な少女が、鏡の奥の世界へ旅立っていく。
不思議の国のアリスみたいな。
でも、少女が双子だったり、親子関係に問題があったり、
他にも第二次世界大戦やら、色々な要素が絡んで面白い。
裏庭の世界の登場人物たちも個性豊かで興味深い。
「いいな、傷を恐れるでないぞ」
「自分の傷に、自分自身をのっとられてはいけないよ」
「傷を、大事に育んでいくことじゃ」
三つ子のおばば達の言葉が、しっかり刺してくるんだよなぁ。
アイデンティティとか、心理学的観点から読んでも面白いよ。
文庫版は分厚く見えるけど、会話が多いから思ったよりサックリ読めちゃう。